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No.17 地震と建物
地震・雷・火事・親父と昔から言われていますが、この世の中一番怖いものは地震です。
昨年11月23日に発生した新潟中越大地震は10年前の兵庫県南部地震以来の震度7を記録しました。日本は地震大国で数々の地震画は発生しています。 ここで、地震の大きさを表すマグニチュード(M)は、地震のエネルギー規模を表す単位でマグニチュードが1大きくなると、エネルギーの大きさは約32倍になります。 関東大地震はM7.9、兵庫県南部地震はM7.2で、新潟中越地震はM6.8でした。
また、地震震度は、地震の際の各地点の揺れの強さを表します。ある地点が実際にどう揺れるかは、地震のエネルギー規模だけでなく震源からその地点までの距離、地盤条件などに左右されます。
私たち構造屋はこの地震に頭を痛めているのですが、日本の耐震設計基準の変遷は大正9年に市街地建築物法が制定され大正13年に市街地建築物法改正により設計震度0.1以上、昭和25年に建築基準法制定で設計震度0.2以上となり、昭和56年にいわゆる新耐震設計法となりました。さらに、平成12年に限界耐力設計法が確立されました。
地震との戦いは永遠に続くのですが、その戦いは地震の力に耐える耐震構造、地震による揺れの強さを減少させる免震構造、地震の揺れの幅を減少させる制震構造が生まれています。
最近、長周期地震動が話題となっていますが、平成15年十勝沖地震の際に、震源域から160kmも離れた苫小牧で、大きな揺れが長時間続く長周期地震動の存在が実証されました。 苫小牧の土地は盆地形状を示す堆積平野の縁にあり、長周期の表面波が盆地形状により増幅され長時間大きな揺れが続きました。いわゆる渚現象で、首都圏は沖積層の厚い堆積平野であり盆地形状で、東海・東南海・南海地震等の地震による長周期地震動に注意が必要です。
ちなみに、私の住んでいる超高層マンションでは地震地がより遠い方が、揺れが大きく感じられます。
松林 孝仁