スペシャル

新すまい考

伝統木造建築

 川建会の研修旅行で、昨年11月23日〜24日に宇治の平等院宝物館(鳳翔館)、平城宮跡第一次大極殿復原工事、 京都のはずれ加茂町の浄瑠璃寺の見学に行きました。


 新設された平等院宝物館(栗生 明設計)が国宝の阿弥陀堂とどのような関係をもって建てられているのか、 重文の吉祥天女像の厨子が開帳され(10月1日〜11月30日)、紅葉が見頃の浄瑠璃寺の伽藍配置にも興味がありましたが、 今回の研修旅行の主な目的は大極殿(だいごくでん)正殿の復原工事の見学でした。


 平城宮では、すでに朱雀門の復原が完成しており、2001年(平成13年)から遷都1300年になる2010年(平成22年)の完成を目指し、 大極殿は鉄骨の素屋根(トラベリング工法)の中で工事が行われています。


 大極殿は、10年というその工事期間の長さもさることながら、使用している桧を中心とした材料の凄さに圧倒されます。


 桧は、発注者の文部科学省の意向で、国有林は使用せず民有林から調達をしたそうです。 施工会社の資材係が主に吉野や尾鷲の山を歩き、山林家と交渉し、1本1本桧の柱や梁を調達したそうです。 樹齢300年以上の桧は見つけるのが大変で、見つけたとしても先祖代々守ってきた木を自分の代で処分は出来ない…と、 5本あっても1本を譲ってもらうのがやっとだったとの事でした。


 私達は、文部科学省の監督官の案内で、基壇部分の免震装置の見学、初重柱44本が立つ室内の見学をしました。


 屋根に使われている構造材も一番小さい垂木で30cm角はあり、その木材の凄さには、ただただ溜息をつくばかりでした。 化粧材は全て手斧(ちょうな)で仕上げられおり、弁柄(べんがら)を塗るようです。


 その後、彩色場、加工場(27mX54m)、木材保管庫(27mX72m)、原寸場(27mX54m)と見学しました。 そのいずれもスケールの大きさには驚くばかりでしたが、仕事柄、特に原寸場の図面は食い入るように見ておりました。


 宮大工は20人程のようですが、若い人も多く、文部科学省が考える伝統技術の継承もこの現場では上手くいっているようで、心強く思いました。


 工期もあと4年。瓦の発注もしたようですが、この現場は時間もゆっくりと流れ、日本もまだまだ捨てたものではないと感じ、嬉しくなりました。


 ちなみに総工事費は、約200億円弱とのことでした。


奥山 繁樹

このページのトップへ