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新すまい考

アルミ建築

 工業化されたアルミが初めて建築に使用されたのは、1900年初頭にオットー・ワグナー設計による郵便貯金局で、 玄関キャノピー、階段手摺、温風吹出し口等に使用されました。


 アルミが工業化されたのが1886年なので、その10数年後に建築に用いられたことになります。 又さらにその10数年後には、あの有名なツェッぺリンの飛行船が建造され、その骨組みにアルミが使用されました。 飛行船は直径が30〜40メートル、長さが200〜300メートルという大きさで、 それを支える巨大なアルミ構造物が1910年代半ばに実現されていたことは、驚きに値します。


 アルミは戦前(第二次世界大戦)は軍需物資であったために、民需として建築に利用されるのは戦後のこととなります。 昭和40年代には「これからはアルミ構造材」という気運が盛り上がりましたが、昭和48年及び昭和53年の第一次・第二次オイルショックにより、 アルミ業界は大きな打撃を受け、その気運も雲散霧消し、アルミ構造材停滞の時代が続きます。


 ただ、昭和50年代に沖縄海洋博が開催され、アルミ横造による平屋(千数百屐砲建設されましたが、 残念なことにこの建物はあまり注目されませんでした。


 その後、昭和63年にアルミを建築構造材と認めるプロジェクトが建設省主導のもとに発足し、 平成14年にはアルミに関する告示が定められました。現在アルミは木材や鉄骨と同じ地位になり、建築構造材として認知されています。 このようにアルミ建築の法律的な環境は整いましたが、現状ではアルミ告示に基づいて確認申請された建物は2棟あるのみです。


 これからアルミ建築が普及する為には、アルミの魅力を知っていただくことが必要になってきます。アルミは高価なのではないか、 アルミは強度的に弱いのではないか等々マイナスの評価は色々述べられていますが、どのような材料であっても、適材適所でなければ、 その能力を発揮することは不可能で、オールマイティーな材料など、そもそもこの世に存在しないのです。


 アルミの最大の魅力のひとつは、押し出しによる加工です。鋼材とは異なる断面を自由に押し出すことが可能で、 その可能性は無限大と言っても良いでしょう。その断面の特性を利用した継ぎ手のシステム、 架構システムにより新たな建築の可能性も無限大です。


 アルミそのものは材料として新しい物ではありませんが、建築構造材としては新しい材料です。 この新しい材料「アルミ」の魅力、可能性の全てについて述べることは出来ませんが、その一端でもご紹介できたとしたら幸いです。

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