スペシャル

新すまい考

空間と街

 最近、住宅からマンションまで、「デザイナーズ」と呼ばれる空間を意識した作品が身近になりました。 造る側より、使う側の意識変革が大きな原因と思われますが、心地よい空間が増えることは良いことです。


 空間とは3次元的な広がりで、間取図等の平面的な表現に、模型、スケッチ等の立体的表現を加えるとわかりやすくなりますが、 その形のほか、光のあたり方や、構成する材質や色調で変化します。


 さらに、イメージをもう少し膨らませると、例えば、屋根や壁がなくても連続した鳥居が形成する求心力のある参道空間や、 浜辺のパラソル下は、屋根ならぬ簡易な覆いが生んだ開放感ある囲われた空間、など空間意識は様々ですが、 建築では内部空間と外部空間に大別できます。内部空間と外部空間の接点が窓で、明かりを彩り入れる内部要求と、 外観デザインの外部要求は、合致しません。


 内部空間は窓という接点から街と接するわけで、デザインされた店舗のショーウンドウが街の賑わいをもたらすのと、 総ガラス張りの無機質なオフィースビルとは、接点の意味も街並みへの関わりも大きく異なります。


 一方、街の方も機能的すぎて、人と物を運ぶ以上の容量がないと、パリの歩道カフェは生まれません。 最近の大型ショッピングモールはそんな状況が生んだ外部(街)を内包した内部空間です。 日本ですと、軒下の縁台、縁側など、内、外空間の中間空間があり、うまく内外空間の連続性が確保されていましたが、 街が、人ならぬ車で渋滞しては、接点どころではなく、遮断してガードするだけで手一杯になってしまいます。


 現代建築は、高気密で遮断性に富んでいるので、窓を意識し、限定して街に向き合えば、外部空間も豊なものとなるでしょう。 例えば、窓に囲まれた、ショッピングセンターの中庭は、外部空間に囲まれた内部空間で、縁側と同質な中空間を形成でき、 街に接する建築の好ましい形でしょう。原宿・表参道は、それらの豊な中空間をもつ建物が、街並みを形成した好例で、 そんな街並みが多くなるように、日頃から空間意識を高めてゆきたいものです。


田辺 真一朗

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